「ごはんはなぁ、100回噛んで食べるんやで。
仏さんに感謝してなぁ、ゆっくり噛んで食べなあかんのやで。
お母ちゃんがそう教えてくれた」
ごはんを食べるときにいつもハルエさんが言われる言葉です。
「へぇ、そうなんや。ハルエさんのお母さんてどんな人やったの?」
と尋ねると
「私のお母ちゃんはお寺に嫁いだ人やで。せやから私はお寺の娘や。
せやけどなぁ、今は無人寺になっとるんや」
少し寂しそうなハルエさん。
「そのお寺ってなんていうお寺?」
「和知のお寺やで」
「えぇ~っ!?私、ちょうどそのお寺の管理してはる人しってる!!」
「たぶん頼んだら開けてくれはると思うよ。実家のお寺行ってみませんか?」
と尋ねると
「行きたい。行きたい」と。
娘さんも誘って3人で行ってみることにしました。
管理をされている方も快諾してくださり、中に入れてもらうことに
「そうそう。この庭でよう遊んだなぁ。お母ちゃん、この台所でようご飯つくってくれたなぁ」
蘇ってくる思い出の数々。
そしてお仏壇を目にすると自然とお座りになり、般若心境を唱えはじめられました。
「魔訶般若・・・」
そのお経を聞いていると何だか私が泣けてきてしまって…
ハルエさんがまだ若かった頃。きっと小さかった子どもたちを一生懸命育てながら、
必死でお寺を守ってきはったんやろなぁ。
その光景が鮮やかによみがえってくるようで、私も今も一生懸命に生きようと勇気が出た一日でした。
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