「介護×田舎暮らし」
今から10年前、初めてS子さんと出会いました。
S子さんは当初、自宅で寝たきりの生活をされていました。デイサービスで、お風呂に入って
清潔を保てたらそれで良い…
ご家族の希望で、ひだまり(現在のくろまめさん)に通われることになりました。
S子さんの入浴の介助、排泄のお手伝い、食事の用意、送り迎え。
僕たちは当たり前の「介護」をしっかりやっていましたが、S子さんはこう言われました。
「こんなにお世話になるくらいなら、死んだ方がマシや。」
愕然としました。
お世話するだけの介護ではS子さんの笑顔を見ることはできないのだと思い知らされたからです。
僕たちはS子さんと本当の会話を始めました。
どんな人生だったのか?
どんなものが好きなの?
どんなことが得意なの?
逢いたい人はいませんか?
それから…
漬物の漬け方、教えて!
小豆の植え方、教えて!
おくどさんでごはん焚きたいねんけど、全然分からんから、助けて〜!!
いつの間にか、S子さんは歩行器で歩き出し、ニコニコと私たちを助けて下さる存在になっていました。
S子さんは、歩けなかったのではない。歩きたい現実がなかったのです。
起こさないといけないのは、身体ではなく、心でした。
くろまめさんは、お世話するだけの介護、リハビリやレクリエーションに終始する介護を辞めました。
昔からされていた「田舎の暮らし方」を、お年寄りに教わりながら取り戻していくことで
お年寄りもスタッフも、ますます元気に笑顔になっていくからです。
今、くろまめさんが実践している「介護」は、時代が求める「田舎暮らし」と掛け合わさり
街づくりの種になりました。
「介護」×「田舎暮らし」
この種を大きく育てたい。
くろまめさんと同じ想いをいだいて下さった
”くろまめさん”と”あなた”にしかできない挑戦です。
ご期待ください。